H.I.Sの戦略

旅行業者H.I.Sの戦略

経営戦略の実例として最後に紹介するのは、H.I.S(エイチ・アイ・エス)です。
こちらの会社は東京を本社とする旅行会社で、旅行のツアー商品の販売などを中心に行っています。
では、H.I.Sが行ってきた経営戦略というのはどういったものだったのでしょうか?

H.I.Sもスズキ自動車と同じく、集中戦略をベースとした戦略を展開しました。
旅行業全体に対して手を伸ばすのではなく、低コストで旅行に行きたい、という層だけをターゲットにしてマーケティングを行ったということです。
その結果、今では格安旅行ツアー=H.I.Sというようなブランド力を身につけることに成功しました。

ブランド力というのはその後のマーケティングにも大きく影響を与える付加価値です。
というのも、サービスや製品自体の質や値段に差がないのであれば、多くの人は有名である方を利用するためです。
一つの評価基準を得ることに成功し、より大きな躍進を遂げることになりました。

コストリーダーシップ戦略

この集中戦略の成功を下支えしたのが、H.I.Sが徹底的に行った「コストリーダーシップ戦略」です。
これは、製品自体の良さで対決するのが難しい場合に、業界内でともかく最安値をつけることで注目を引く、という作戦となります。
安かろう悪かろうと思って避けてしまう人も当然でるのですが、幸か不幸か日本は不景気の状況下であり、値段が低いというだけで利用したいと考える層は多くいました。

徹底的な格安化によって格安旅行界にH.I.Sあり、ということが全国的に有名になったわけです。
集中戦略とコストリーダーシップ戦略を組み合わせることによってより強いマーケティングを実現したと考えられるでしょう。
今では有名になったスカイマークエアラインズも元々はH.I.Sから派生した会社であり、その意味が分かるかと思います。